大切にしたいこと

　私は、臨床心理士・公認心理師として活動しています。老若男女問わず様々な方を対象としたカウンセリングを主としながら、心理士を目指す大学院生の指導もおこなっている専門家です。

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　心理臨床実践に携わってきた中で感じることは、そこで出会う人たちの価値観や信念は多種多様だということです。生まれ育ってきた環境や、体験してきたエピソード等のさまざまな要因から、その人たちが大切にする価値観や信念が作り上げられていると私は考えています。だからこそ、同じような価値観や信念であっても、一つとして同じものはありませんし、そのことに大小や優劣は存在しません。その人独自の価値観や信念が存在しています。

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　一方で、人は、日々の人間関係で本当に大事にしている思いや価値観、信念について、誰かに話したり伝えたりする機会が少ないということも感じてきました。身近だからこそ言いにくかったり、態度や姿勢だけで理解していて欲しいという気持ちにもなるのかもしれません。しかし、話したり伝えたりする機会が少ないことは、その人自身も、大切にしている価値観や信念について、日々の生活の中で埋もれさせてしまっている可能性もありますし、話してみて初めて『私は、このことを大切にしていたんだ』と気づけることもあります。その気づきから、さらにその人が生き生きとした人生を歩むことにつながっていくと考えています。

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　このように、自由に考えていることを語ったり、表現する機会を作ることはできないかという気持ちになり、「ナラティヴ・ベイスド・ドキュメンタリー」という表現で、人の思いを作品にしたいと考えました。